一人親方・個人事業主の経費はどこまで?落とせるもの・按分・危ない項目を整理

こんにちは、ゆうペイです!

確定申告の時期になると、領収書の山を前にして手が止まる瞬間がありますよね。
「この工具は経費でいいよな…」「でも車のガソリンは?スマホ代は?」「そもそも国民健康保険って経費に入れていいんだっけ?」

経費は「落とせる金額が増えれば、その分だけ税金が安くなる」大事な話。でも、ネットで「これも経費にできる」という情報をうのみにして入れすぎると、あとで税務署に指摘されて余計に払うハメになることもあります。

ゆうペイ

工具や材料は分かるけど、車のガソリンや自宅の家賃ってどこまで経費でいいの?国保や年金は?

☝️結論:経費とは「事業のために使ったお金」です。職人さんの場合、ざっくり3つに分かれます。
仕事だけに使うもの(工具・材料など)=全額OK
仕事と生活の両方で使うもの(自宅家賃・車・スマホ)=事業で使った”割合の分”だけ
国保・年金・労災保険料=経費ではないが「所得控除」(税金の計算前に差し引ける別枠)でちゃんと税金は安くなる
そして、ハッキリ白黒つけにくい「グレーな項目」は、無理に経費だと言い切らず、税務署か税理士に確認するのが一番安全です。

この記事では、個人宅の小工事・修理を回る一人親方・個人事業主・職人に向けて、

  • ⭕ 確実に経費にできるもの(迷わず落としていいもの)
  • △ 「事業で使った分だけ」按分が必要なもの(家賃・車・スマホ)
  • ⚠️ 言い切ると危ないグレーな項目(親方への支払い・作業着など)
  • ❌ 経費だと勘違いしやすいもの(国保・年金・労災保険料)

を、国税庁の公式ルールを根拠に、現場目線で整理しました。あいまいな項目は「ここは断定できません」とハッキリお伝えします。安全に、でもしっかり節税していきましょう。

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。また、一般的な情報の整理であり、個別の判断は決済の仕組みや契約・事業の実態で変わります。最終的な判断は所轄の税務署や顧問税理士にご確認ください。

目次

1. そもそも「経費」って何?判断のものさしは1つだけ

細かい品目に入る前に、たった1つの「ものさし」を押さえてください。これさえ持っておけば、迷ったときの判断がブレません。

国税庁のルールでは、必要経費は「売上(収入)を得るために直接かかった費用」と「その年の事業のために使った費用」と決められています。つまり判断基準は「それは”仕事のため”に使ったお金か?」という一点です。

逆に言うと、生活のために使ったお金(家事費)は経費になりません。そして職人さんを一番悩ませるのが、「仕事にも生活にも使うもの」——自宅兼事務所の家賃、現場にも私用にも乗る車、仕事にもプライベートにも使うスマホ。これらは「全額」でも「ゼロ」でもなく、事業で使った分だけを切り分けて経費にします(これを”按分”といいます。§3で詳しく)。

👉 出典:国税庁 No.2210 必要経費の知識

2. ⭕ これは迷わずOK|確実に経費にできるもの

まずは安心して落とせるものから。仕事だけに使うものは、按分も気にせず全額を経費にできます。職人さんの現場でよくあるのはこのあたりです。

  • 材料費・部材費(工事で使う資材)
  • 工具・消耗品(仕事専用のもの。ビス・刃物・手袋など)
  • 取得価額10万円未満の工具・備品(買った年に全額経費)
  • 事業税(全額が経費)
  • 仕事で使う道具のレンタル代・現場の駐車場代など、事業のための支出

ポイントは「それ、プライベートでは使わないよね?」と言い切れるかどうか。言い切れるものは、堂々と全額経費にできます。

10万円以上の工具・車は「分割」して経費にする(減価償却)

高い買い物には注意が必要です。1つ10万円以上の工具や車などは、買った年に全額ではなく、何年かに分けて少しずつ経費にするのが原則(これを”減価償却”といいます)。値段によって扱いが3段階に分かれます。

1つあたりの値段経費にする方法
10万円未満買った年に全額経費
10万円以上 20万円未満3年に分けて均等に経費(一括償却)も選べる
10万円以上 30万円未満青色申告ならその年に全額経費にできる特例あり(年間合計300万円まで)
30万円以上法定耐用年数に応じて数年かけて償却

もう1つ注意。この10万・20万・30万の金額は「税込」か「税抜」かで判定が変わります消費税を納めていない人(免税事業者)や税込経理の場合は”税込金額”で判定するので、たとえば本体28万円(税込30.8万円)の工具は「30万円以上」の扱いになり、30万円未満の特例は使えません。多くの一人親方は税込で判定する点に気をつけましょう。

⚠️ 「30万円まで一発で経費」は青色申告だけ

「30万円未満なら全額その年に落とせる」という話をよく聞きますが、これは青色申告をしている人だけが使える特例です(少額減価償却資産の特例・期限あり)。白色申告の方は使えませんので、「誰でも30万まで一発で経費」と思い込まないようにしましょう。

👉 出典:国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

3. △ 「事業で使った分だけ」のもの|家賃・車・スマホ(按分)

ここが一番ボリュームが大きく、そして一番ミスが多いところです。自宅兼事務所の家賃、現場に乗っていく車、連絡に使うスマホ——これらは仕事にも生活にも使うので、全額を経費にするのはNG。事業で使った割合の分だけを経費にします。

❌ やりがちなNG
自宅の家賃全額を経費に計上
→ 生活でも使っている分まで入れると、指摘されたときに否認されるリスク
⭕ 正しい考え方
家全体のうち仕事に使っている部分を、面積や使用時間で合理的に区切って計上
→ 「なぜこの割合か」を自分で説明できる根拠が必要

按分が必要になる代表的なものは次のとおりです。

  • 自宅兼事務所の家賃・水道光熱費(仕事に使う部屋の面積割合などで区切る)
  • 車・ガソリン代・車検・自動車保険(仕事で走った距離の割合などで区切る)
  • スマホ代・通信費(仕事で使う割合で区切る)
  • 持ち家を仕事場にしている場合の固定資産税・火災保険(業務で使う部分だけ)

国税庁のルールでは、家事と兼用の費用(家事関連費)のうち経費にできるのは「業務のために直接必要で、記録などからその分をはっきり区分できる金額」だけ、とされています。

💡 「家賃の◯%が経費」と決まった数字はありません

ネットでは「家賃の3割」「車は5割」といった数字をよく見かけますが、国税庁が「◯%でOK」と決めた割合は存在しません。あくまで自分の事業の実態に合わせて、合理的に説明できる割合を出すのがルールです。仕事に使う部屋の面積、仕事で走った距離など、根拠になるメモや記録を残しておくと、いざというとき安心です。区切り方は面積だけでなく仕事で使う日数や時間でもかまいません。逆に「生活でも使う部屋を多めに経費」といったやりすぎの按分は税務調査で否認されやすいので、実態に合った無理のない割合にしましょう。具体的な割合に迷ったら、税務署や税理士に相談しましょう。

👉 出典:国税庁 No.2210 必要経費の知識(家事関連費)

4. ⚠️ ここは言い切れない|判断が分かれるグレーな項目

ネットの記事だと「これも経費でOK」って書いてあるけど、本当に大丈夫なの…?

ここが一番大事なところです。正直にお伝えすると、次の項目は「経費にできる」と一律に言い切れません。なぜなら、国税庁自身が「事業の実態を見て個別に判断する」としている領域だからです。ネット記事の言い切りをうのみにして処理すると、あとで否認されたり、別の税金(源泉徴収など)の問題に波及したりするリスクがあります。

① 親方・応援への支払い(外注費か給与か)

一人親方にとって最重要のグレーがこれです。応援に来てもらった人や、手間請けで頼んだ人への支払いを「外注費」として経費にできるか、それとも「給与」になるのか。国税庁は、仕事の代わりがきくか/指揮監督や時間的拘束を受けるか/道具や材料を誰が負担するか/報酬は時間給か出来高かなどを総合的に見て個別に判断するとしています。機械的に決まりません。

これを誤って「外注費」で処理すると、本来必要だった源泉徴収のモレや、消費税の控除が認められないといった問題につながることがあります。判断に迷う支払いがあるなら、自己判断で経費にせず、税理士か税務署に確認してください。

👉 出典:国税庁 大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱い(法令解釈通達)

さらに2026年現在は、外注費として認められても、あなたが消費税の課税事業者の場合は「相手がインボイス登録しているか」で税負担が変わります。インボイス未登録(免税事業者)への支払いは、消費税の仕入税額控除が2026年9月までは80%、2026年10月からは50%に制限されます(経過措置)。誰に頼むかでも変わる話なので、頭の片隅に置いておきましょう。

② 作業着・現場までの交通費・交際費

  • 作業着・安全保護具:ヘルメットや安全靴など仕事専用のものは業務性がはっきりしています。一方、普段着としても着られるものは家事との兼用が問われやすく、「作業着は全部経費」とは言い切れません。
  • 自宅から現場までの交通費・ガソリン:事業のための移動なら経費の対象ですが、自宅をどう位置づけるかなどで評価が分かれることがあります。割合の出し方を含め、迷ったら確認を。
  • 交際費・打ち合わせの飲食:取引先との打ち合わせなど事業との関係がはっきり説明できるものに限られます。誰と・何の目的で、を記録しておきましょう。

こうしたグレー項目に共通するコツは、「金額・日付・目的・相手」をメモや記録で残しておくこと。判断が分かれたときも、この記録があれば「事業のために使った」と説明する材料になります。

5. ❌ 経費だと勘違いしやすいもの|国保・年金・労災は「控除」

最後に、一人親方が一番やりがちな勘違いを整理します。次のものは経費にはなりません。ただ、ガッカリしないでください——「所得控除」という別のしくみで、ちゃんと税金は安くなります

項目経費?正しい扱い
国民健康保険料❌ ならない社会保険料控除(所得控除)
国民年金保険料❌ ならない社会保険料控除(所得控除)
労災保険の特別加入の保険料❌ ならない社会保険料控除(所得控除)
所得税・住民税❌ ならないどこにも入れられない
生活費(家事費)❌ ならない対象外

ポイントは、国保・年金・労災保険料は「経費」ではなく「所得控除」だということ。帳簿の経費に入れるのではなく、確定申告書の「社会保険料控除」の欄に書きます。場所は違いますが、払った保険料の分だけ税金が安くなる効果は同じなので、入れ忘れだけは絶対に避けましょう。

👉 出典:国税庁 No.1130 社会保険料控除

💡 労災保険料を「経費」にしていませんか?

一人親方の労災(特別加入)の保険料は、つい「仕事のための保険だから経費」と思いがちですが、正しくは社会保険料控除です。経費に入れてしまうと処理を直す手間が増えるので、最初から控除の欄に書きましょう。控除でもしっかり節税になります。

6. 経費の仕分けは「会計ソフト」で自動化するのがいちばんラク

ここまで読んで、「考え方は分かったけど、毎回これを手で仕分けるのは大変そう…」と思った方も多いはず。実際、経費でいちばんツラいのは”判断”より”日々の記帳作業”です。

ゆうペイ

領収書を1枚ずつ手で入力して、勘定科目を調べて…現場仕事のあとにコレはしんどいよね。

そこで頼りになるのがクラウド会計ソフトです。銀行口座やクレジットカード、PayPayなどの決済データを自動で取り込んで仕分けてくれるので、領収書とにらめっこする時間がぐっと減ります。按分の計算や、確定申告書の作成までサポートしてくれるのも心強いところ。職人さんに定番なのが、次の2つです。

スマホ入力でラクしたいなら「freee会計」
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弥生シリーズ(白色申告は無料から)
弥生

はじめての確定申告で不安な方は、白色申告なら無料から使えるやよいの白色申告オンラインあたりから試すのも手です。どのソフトが自分に合うかは、下の比較記事でじっくり選べます。

👉 個人事業主の会計ソフトは実質3択|弥生・freee・マネーフォワード比較

なお、領収書をデータで受け取って保存するときは電子帳簿保存法のルールもあわせて押さえておくと安心です。
👉 電子帳簿保存法は一人親方にも関係ある?データ保存の正しいルール

7. まとめ:経費は「仕事のため?」を基準に、グレーは確認

経費まわりは複雑そうに見えて、押さえる順番はシンプルです。

  • 判断のものさしは「それは仕事のために使ったお金か?」の一点
  • 仕事専用のもの(材料・工具・10万円未満の備品)は全額OK
  • 家賃・車・スマホは事業で使った割合だけ(◯%という決まった数字はない・根拠を残す)
  • 親方への支払い・作業着などのグレーは言い切らず、税務署や税理士に確認
  • 国保・年金・労災保険料は経費でなく「社会保険料控除」(入れ忘れ厳禁)

「節税したい」気持ちと「あとで指摘されたくない」気持ち、その両方を満たすコツは、確実なものはしっかり落とし、グレーは無理しないこと。そして日々の記帳は会計ソフトに任せて、自分は現場に集中する。これが一人親方の経費との、いちばんラクで安全な付き合い方です。

📌 あわせて読みたい
👉 個人事業主の会計ソフトは実質3択|弥生・freee・マネーフォワード比較
👉 青色申告と白色申告はどっち?控除の違いを一人親方向けに解説
👉 電子帳簿保存法は一人親方にも関係ある?

※本記事は一般的な情報をまとめたものです。経費になるかどうかの個別の判断は、事業の実態・契約内容・申告方法(青色/白色)によって変わります。判断に迷う項目や高額・特殊なケースは、所轄の税務署や顧問税理士に必ずご確認ください。最新情報は国税庁の各案内もあわせてご確認ください。

よくある質問(一人親方の経費)

Q1. 一人親方は経費をどこまで落とせますか?

判断基準は「事業(仕事)のために使ったお金かどうか」の一点です。仕事専用の材料・工具・10万円未満の備品などは全額が経費になります。自宅家賃・車・スマホなど生活と兼用のものは、事業で使った割合の分だけが経費です。国保・年金・労災保険料は経費ではなく社会保険料控除になります。

Q2. 自宅兼事務所の家賃は何割まで経費にできますか?

「何割まで」という決まった数字は国税庁にはありません。仕事に使っている部屋の面積割合や使用時間など、事業で使った分を合理的に説明できる範囲で区分します。根拠になる記録を残しておき、割合に迷う場合は税務署や税理士に相談してください。

Q3. 国民健康保険料や国民年金は経費になりますか?

経費にはなりません。これらは「社会保険料控除」という所得控除になり、確定申告書の社会保険料控除の欄に記載します。経費とは記載する場所が違うだけで、払った分だけ税金が安くなる効果は得られます。一人親方の労災(特別加入)の保険料も同じく社会保険料控除です。

Q4. 応援に来てもらった親方への支払いは経費(外注費)にできますか?

外注費として経費にできるかは、仕事の代わりがきくか・指揮監督や時間的拘束を受けるか・道具や材料を誰が負担するかなどを総合的に見て個別に判断されます。給与と判定されると源泉徴収などの問題が出るため、一律に「外注費で経費」と決めず、判断に迷う場合は税理士か税務署に確認してください。

Q5. 10万円以上の工具を買ったら、その年に全額経費にできますか?

原則は減価償却で、数年に分けて経費にします。ただし青色申告をしていれば、30万円未満のものはその年に全額経費にできる特例があります(年間合計300万円まで・適用期限あり)。白色申告ではこの特例は使えないため、10万〜20万円未満で3年均等の方法などを検討します。

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