無料の請求書ソフトはこの2つ|Misocaとfreee請求書を職人目線で比較

こんにちは、ゆうペイです!

日中は現場、請求書づくりは夜9時から。
Excelのひな型を開いて、単価を打って、電卓で検算して、印刷して封筒に入れて…気づけば日付が変わっている。
そんな夜、毎月ありませんか?

調べてみると「請求書ソフトは無料で使える」という話をよく見かけます。
でも種類が多くて、「結局どれなら無料で済むの?」「無料って言っても、どうせ途中で課金でしょ?」と疑いたくなりますよね。

実は、一人親方の請求書なら無料のままで十分なケースが多いんですよ。
分かれ目は「月に何通出すか」、ただそれだけなんです。

☝️結論から言うと、無料で本格的に使える請求書ソフトは実質2つ。
Misoca(みそか・月10通まで無料)とfreee請求書(枚数無制限で無料)です。
月10通以内ならMisoca、通数が読めないならfreee請求書。
便利ツールが増えている昨今、手書き・Excelのまま続ける方が、実はいちばんリスクが高い時代になっています。
ただし、元請けが様式を指定してくる現場は、無料の2つでは作り直せません。その回し方も後半に書きました。

一人親方の話として書きますが、中身は個人事業主・フリーランス・お店をやっている方にもそのまま当てはまります。
なお、工事台帳や工事原価、協力会社への支払いまで一体で管理する有料システムの話ではありません。一人親方が0円で回すための記事です。

手書きやExcelで請求書を作っている職人・一人親方の方向けに、この記事では次のことを書いています。

  • 手書き・Excel運用に潜む3つのリスク(インボイス時代の落とし穴)
  • 無料で使える請求書ソフト2つの正直な比較
  • 「月何通までなら無料で十分か」の分かれ目
  • 元請けの指定様式・出来高調書つきの現場をどう回すか
  • 人工代・材料・諸経費の内訳を毎月使い回す設定
  • 無料枠を使い切らない、PayPay受け取りとの合わせ技

☝️なお、請求書に「何を書くか」(9項目の書き方)は請求書の書き方の記事で解説済みです。この記事は「何で作るか」のツール選び編。夜の事務作業を今月で終わりにしたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

※本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。

目次

手書き・Excelの請求書はもう限界?|インボイス時代の3つのリスク

最初にはっきり言います。手書きやExcelの請求書は、いまも法的に有効です。
決まった様式があるわけではないので、「手書きだから無効」なんてことはありません。

ただ、「有効」と「安全」は別の話。
インボイス制度と電子帳簿保存法が始まってから、手作業の請求書には3つのリスクが潜むようになりました。

⚠️ リスク① 転記ミス
インボイスの登録番号はT+13桁。手入力だと1桁違いが起きやすく、間違うと元請けから差し戻しに
⚠️ リスク② 控えの保存
メールでPDFを送るなら、その控えは電子データのまま保存が義務(2024年1月から)。Excel+メール運用はここが手薄になりがち
⚠️ リスク③ 7年保存
適格請求書の写しは原則7年保存。しかも数えはじめは交付した年ではなく翌年3月1日から。紙とExcelが混ざった状態で管理しきれるか…

特に怖いのがリスク①です。
登録番号などの記載に誤りがあると、元請け側は消費税を余分に払うハメになります(払った消費税を差し引く「仕入税額控除」が受けられないためです)。
しかも元請けが勝手に直すことはできない決まりなので、番号が1桁違うだけで「作り直して再提出」の差し戻しになるわけです。

夜中にやっと作った請求書が差し戻し…それで入金まで遅れるのは、きついなぁ。

請求書ソフトを使うと、登録番号・税率の区分・端数処理といったインボイスの決まりごとは型に沿って自動で入り、控えの保存もデータのまま勝手に残ります。
つまり、この3つのリスクをまとめて大きく減らせる。
「手書きをやめる」のは手抜きではなく、差し戻しと保存漏れを防ぐ実務対策なんです。

※制度の根拠:国税庁「適格請求書等保存方式(タックスアンサーNo.6498)」。電子データ保存の義務の詳細は電帳法対応の記事でやさしく解説しています。

「うちは売上5,000万円もないけど、電帳法って関係ある?」

ここは正直に書いておきます。結論から言うと、ソフトがなくてもエクセルとメール保存で0円対応はできます。違法になるわけではありません。

  • 2年前の売上が5,000万円以下なら、検索できる状態にしておく要件は要りません(税務調査でデータを出せればOK)
  • 専用ソフトがなくても、「勝手にデータを消さないためのルール」(事務処理規程)を紙で作っておけば要件を満たせます。国税庁が個人事業者向けのひな型を配っています
  • 猶予措置は事前の申請が要りません。「相当の理由」には人手不足も入ります

ただし、ひとつだけ間違えやすいところがあります。
メールで受け取ったPDFは、紙に印刷してもデータを消してはいけません。
電子取引のデータそのものが原本だからです。以前あった「紙に出しておけばいい」という猶予は、2023年12月末で終わっています。

つまり規程を作れば0円でも対応はできます。
そのうえでソフトを使うと、規程も検索もまとめて勝手に片づく、という関係です。

無料で使える請求書ソフトは実質2つ|Misocaとfreee請求書

「請求書ソフト 無料」で検索するとたくさん出てきますが、ずっと無料で本格的に使えるものに絞ると、候補は実質2つです。

  • Misoca(みそか)
    :会計ソフト大手・弥生グループのクラウド請求書サービス。請求書は月10通まで無料、見積書・納品書は何枚でも無料
  • freee請求書
    :freeeの無料帳票サービス。発行枚数の制限なしで、見積書・納品書など40種類以上のテンプレートが使える

ここでひとつ豆知識。「Misocaと弥生はどっちがいいの?」という比較を見かけますが、Misocaは弥生株式会社のサービスなので、その比較は実は成り立ちません。

弥生には「やよいの見積・納品・請求書 26」というパソコンに入れて使うタイプ(弥生の言い方は「インストール型」)もあります。
弥生の公式ストアなら通常12,800円+税のところ5,500円+税(2026年10月15日18時以降の注文分からは7,500円+税)ですが、これは初年度だけの優待価格で、事業者限定・1事業者1製品1回のみ・支払い方法の登録が必要です。
2年目からは「あんしん保守サポート」セルフプランが年7,300円+税。更新のときに解約はできますが、弥生自身が「サポートが途切れると最新の法令に対応したソフトを入手できない」と書いています。インボイスや電子帳簿保存法が動いている今は、実質は毎年かかる前提で見ておくほうが安全です。

もうひとつ、これはWindows向けに作られたソフトです。
MacでもWindowsを動かす仕組みを入れれば「動作するものと思われます」というのが弥生の見解ですが、動作を保証しているわけではなく、その使い方はサポートの対象外です。
いまから選ぶなら、クラウドの2つが主戦場です。

「マネーフォワードは?」と思われたかもしれません。
マネーフォワード クラウド請求書にも0円で使える状態(公式の呼び方は「無償利用状態」)はあります。
ただし取引先の登録が3件までで、郵送代行も使えません。元請け2〜3社+個人宅という職人の使い方だと、取引先3件はすぐ埋まります。

そして個人向けの料金ページには0円の列がありません(載っているのは有料の3プランだけ)。
案内されている無料の入口は1か月のトライアルです。
つまり0円のまま使い続ける前提で作られているのが、Misocaとfreee請求書の2つ。これが「実質2つ」の中身です。

無料でどこまで行けるかは、「何ができるか」より「何ができないか」を見たほうが早いです。

0円のままどこまでMisoca 無料freee請求書 無料MFクラウド請求書 無償
請求書の枚数月10通まで枚数・期間の制限なしメール送信が月30件まで
取引先の登録無制限―(公式に記載なし)3件まで
毎月同じ請求書の自動作成⭕1件まで―(公式に記載なし)
使える人数1名1〜3人1アカウント
郵送代行✕✕✕
入金の消し込み(自動)✕✕(アドバンスのみ)✕
会計ソフトへの連携⭕⭕(freee会計へ)⭕

※2026年9月6日時点の各社公式の表記。「―」は公式に記載を確認できなかった項目です。郵送代行は3社とも0円では使えません(有料プランの機能)。

見落とされがちですが、Misocaは取引先も品目も無制限に登録できて、毎月の自動作成もCSVでの一括作成も0円のまま使えます。
月10通に収まるなら、ここで完結します。

2つとも無料なら、何が違うの?
どっちを選べばいいのか基準が知りたいな。

Misocaとfreee請求書を比較|「月10通の壁」と機能の違い

2つの違いを表にまとめました。

Misocafreee請求書
無料で出せる請求書月10通まで制限なし
見積書・納品書見積書・納品書・領収書が無制限で無料無料(40種類以上のテンプレート)
インボイス・電帳法対応対応
スマホアプリあり(iPhone/Android)あり(請求書アプリ・ブラウザ)
郵送代行プラン15以上で1通210円+税
(無料プランは対象外)
無料プランのままでも1通ごとの支払いで頼める
1通210円〜(枚数で変わる・切手代込み)
※まとめて郵送する機能は有料プラン
郵送の実務翌営業日に発送(18:30以降は翌日受付)・普通郵便で追跡不可・納品書同封は+30円+税・1回6ページまで17時までの依頼で翌営業日に発送・到着まで3〜4営業日
サポート無料プランはWebのFAQのみ(電話・メール・チャットは有料)―(公式に記載を確認できず)
使える人数1名(プラン15は最大2名)1〜3人
毎月同じ請求書の自動作成無料プランでも予約できる無料は1件まで
入金の消し込み(自動)なし(通帳で確認)アドバンスのみ(年払いで月あたり10,000円+税)
相性のいい会計ソフト弥生シリーズ(freee・マネーフォワード連携も可)freee会計
有料プランプラン15:年8,800円+税(1か月あたり733円+税)スタンダード:年払いで月あたり1,980円(年23,760円)+税
アドバンス:年払いで月あたり10,000円(年120,000円)+税

※表のサービス名から各社の公式ページに移動できます。金額は2026年9月6日時点の公式表記(税抜)。freeeの月あたり金額は年払いのときの金額で、月払いの金額は公式の料金ページに記載を確認できませんでした。

大きな違いは2つです。

① 通数の上限:Misocaは月10通まで、freee請求書は無制限。
② 機能の方向性:Misocaは「請求書まわりを1つで完結させる」専門ツールで、毎月同じ請求書の自動作成や郵送代行まで揃っています。freee請求書は「freee会計につなげる入口」という色が濃いツール。何枚出しても無料な代わりに、入金の消し込み(振り込まれたかの自動チェック)を自動でやるには、いちばん上のアドバンス(月10,000円+税)が必要な作りなんです。無料でもスタンダード(月1,980円+税)でも、入金の確認は自分で通帳と見比べる形になります。請求書の発行だけなら無制限・無料で割り切れる、というわけですね。

表で見ると差は2つだけ。あとは自分の月の通数しだいです。Misocaは登録も月10通までの利用も0円なので、迷ったら先に画面を見てから決めても遅くありません。

💡 すでにfreee会計を使っているなら話は早い

確定申告をfreee会計でやっている方は、freee請求書を選べば売上データがそのまま帳簿につながります。
freee会計をまだ使っていない方は、freee会計の完全ガイドもあわせてどうぞ。

分かれ目は「月に何通出すか」|無料で十分な職人・課金すべき職人

では自分はどっちを選べばいいのか。
お金の分かれ目は「月に請求書を何通出すか」です。
先月の請求書の枚数を思い出しながら、下の図で自分の位置を確認してみてください。

📮 月の請求書の通数で決める早見ゲージ

見積書・納品書はカウントしなくてOK(Misocaでも無制限・無料のため)。数えるのは請求書だけです。

月1〜10通
Misoca無料プランで完結(0円のまま)
月11通以上
Misocaプラン15(年8,800円=月あたり733円+税・15通まで)。16通目からは1通70円+税で追加できる(1,000通まで)
通数が読めない
freee請求書(無制限・無料)が保険になる

※料金は2026年9月4日時点の公式表記(税抜)。最新の条件は各公式サイトでご確認ください。

元請け2〜3社+個人宅の仕事が数件、という典型的な一人親方なら、月10通に収まる方も少なくありません。
つまり多くの職人さんは、0円のまま「夜のExcel作業」から卒業できる可能性が高い、ということです。

「請求書の通数」の数え方

数え方でつまずく方が多いので、先に整理します。

  • 元請けは1社につき月1本
  • 出来高で請求する現場は現場ごとに月1本(3現場なら3本)
  • 個人宅や小口は都度(これは後半のPayPay受け取りで減らせます)
  • 見積書・納品書・領収書は数えなくてOK(Misocaは無制限で無料)

ひとつ注意すると、自動作成の予約やCSVでまとめて作った分も、その月の通数に数えられます。
また無料プランの10通は買い足せません。11通目を出したいなら有料プランへの変更が必要で、1通70円+税で足せるのはプラン15以上の16通目からです。

有料に上げるなら、順番に注意

ここは知らないと損をするところです。

Misocaの「無料プラン」は、申し込み画面で最初から選べるプランではありません。
まず無料体験プラン(申込日から申込月の翌月末日まで=最大2か月)で登録して、その間に有料へ移らなければ、自動で無料プランに切り替わる仕組みです。

そして年契約が1年間無料になるキャンペーンは、無料プランに移ったあとでは使えません。
つまり「タダで様子を見てから、必要なら有料に上げよう」という順番が、いちばん高くつきます。
有料にする気があるなら、無料体験の2か月のうちに決めるのが得です。

払い方は年契約と月契約があります。
年契約なら年8,800円+税(1か月あたり733円+税)。月ごとに払う月契約はプラン15で月額880円(税抜)なので、12か月で10,560円+税=年契約より1,760円+税 高くつきます。しかも1年無料のキャンペーンは年契約だけが対象です。

※スマホアプリから申し込める「プラン15(ライト)」(月額500円・税込)は名前が似ていますが別のプランで、郵送代行・FAX・電話やメールのサポートが使えず、15通を超える請求書は作れません。1年無料のキャンペーンも対象外です。

⚠️ 正直に書いておく注意点

無料には無料なりの割り切りもあります。

  • 紙で郵送したい元請けがいる場合 → Misocaの郵送代行はプラン15以上の機能で、無料プランでは使えません(1通210円+税・納品書を同封するなら+30円+税・1回の郵送は請求書と合わせて6ページまで・18時30分までの指示で翌営業日に発送・普通郵便なので追跡はできません)。freee請求書は無料プランのままでも1通ごとの支払いで頼めます(定形1〜6枚で210円・切手代込み・17時までの依頼で翌営業日に発送)。ただし何通もまとめて郵送する機能は有料プランです
  • 元請けの指定様式・出来高調書付き → 無料の2つでは作り直せません。その現場の回し方は後半の「元請けの指定様式・出来高調書つきの現場はどう回すか」で解説します
  • 「登録だけ」では意味がない → 実際に1通作って送るところまで試して、合うかどうか判断するのがおすすめ

夜9時にExcelと電卓で格闘する月末が消える。Misocaは月10通まではずっと無料で、見積書・納品書は枚数無制限。フォームに沿って入力するだけなので、まず1通、いつもの請求書を作ってみて肌に合うか確かめてみてください。

※年契約なら1年間無料になるキャンペーンがあります(2027年3月31日まで)。無料体験の期間中に切り替えないと使えないので順番にご注意を。細かい条件は記事後半のよくある質問にまとめました。申し込みは無料で使える クラウド請求書・見積書・納品書管理サービス Misoca(みそか)の公式ページでご確認ください。

職人の請求書は「型」が違う|ソフト選びで見る7つの現場条件

ここまでで「月10通ならMisocaで0円」までは決まりました。
でも、元請けに出す請求書って、そんなに素直じゃないですよね。

うちの元請け、様式が決まってるんだよなぁ。
出来高の調書も付けろって言われるし・・・

比較記事の多くは「テンプレートが豊富」で話が終わります。
でも職人が本当に知りたいのは、自分の現場のあの書き方が、そのソフトで作れるのかどうか。
ここだけは公式のヘルプまで降りて確かめました。

職人の現場条件Misocafreee請求書
① 元請けの指定様式に寄せる✕ 表題・メッセージ・明細項目の表示名などは変えられるが、項目や列の追加はできない✕ 用意されたレイアウトを選んで項目を出し入れするところまで
② 出来高の累計欄
(前回まで/今回/差引残高)
✕ 前月繰越欄・小計欄の追加ができないと公式に明記✕ レイアウトを作り直せないため同じ
③ 人工・材料・諸経費の内訳行⭕ 明細は最大80行まで足せる。品目の登録は無料プランでも無制限⭕ 明細を自由に足せる
④ 支払期限を入れる⭕ 請求書ごとに入れられる(取引先ごとに締め日を決めておく設定はない)⭕ 請求書ごとに入れられる
⑤ 備考の定型文
(振込手数料の但し書き)
⭕ 登録しておいた定型文をボタンで呼び出せる―(公式に記載を確認できず)
⑥ 控えの保存(電子帳簿保存法)⭕ 送った控えがそのままデータで残る⭕ 作った書類は自動で電子データとして保存される
⑦ 登録番号(T+13桁)の固定⭕ 自社情報に一度入れれば各文書の初期値になる⭕ 同じ

※2026年9月6日時点の各社公式ヘルプ・料金ページの記載にもとづきます。「―」は公式に記載を確認できなかった項目です(=書いていないことを「できない」とは書きません)。

③から⑦は、どちらを選んでも0円のまま解決します。
問題は①と②です。ここだけは、お金を払っても無料の2つの延長線上では解決しません。

元請けの指定様式は、無料の2つでは作り直せません

Misocaで変えられるのは、表題・メッセージ・区分記載の形式・納品日の表記・明細項目の表示名の5つと、用意された14種類のテンプレートの選び直しまでです。
そのうえで公式のよくある質問に、できないことがはっきり書いてあります。
「項目の追加、列の追加、前月繰越欄の追加、任意の改行、任意の改ページ、印影の位置調整、小計欄の追加」。
出来高請求で必要になる欄が、名指しで並んでいるわけです。

freee請求書のほうも、用意された40種類以上のテンプレートから選んで、表示する項目を出し入れするところまでです。
レイアウトをゼロから作れる「カスタムテンプレート」という機能はありますが、これは上位プランのもので、しかも2025年8月末で新規の提供が止まっています。
つまり、いまから申し込む人はお金を払っても様式には寄せられません。

※出典:Misoca「テンプレートはカスタマイズできますか?」/freee「カスタムテンプレートについて」(いずれも2026年9月6日確認)

できないことをできると書くと、1回目の請求で詰みます。
だから正直に線を引いたうえで、どこまでをソフトに任せるかを次の章で決めていきましょう。

元請けの指定様式・出来高調書つきの現場はどう回すか

「じゃあ、うちはソフトを使えないのか」と思われたかもしれません。
そうではありません。全部か0かの話ではないんです。

指定様式の元請けは「ソフトで作らない」でいい

元請けからExcelの雛型を渡されている現場は、その1社だけ、いままで通りその雛型で出してください。
無理にソフトへ寄せようとすると、毎月ズレを直す作業が増えるだけです。

そのうえで、同じ内容を1通だけソフトにも残しておく。
これでソフトは、書類を作る係ではなく控えを保管する係と、いくら出していくら入ったかを見る係に回ります。
電子帳簿保存法で必要な控えの保存も、売掛の見える化も、この1手で片づきます。

出来高請求は、請求書とは別に調書が要る

長い現場は、月ごとの出来高で請求します。
「前回まで」「今回」「差引残高」を並べて見せる、あの累計の形です。

前の章のとおり、この繰越欄と小計欄は無料の2つでは作れません。
だから現実的な回し方はこうなります。
出来高調書は元請けの様式(Excel)で別紙にして、請求書は「当月出来高 一式」の1行で受ける。
金額の根拠は調書側に置いて、請求書はシンプルに保つやり方です。

🧭 元請けのタイプ別・請求書の回し方
その元請け、請求書の様式を指定してくる?
▼ はい(出来高調書もセットで出す)
① 調書と請求書は元請けの様式で作る
② 同じ内容を「当月出来高 一式」でソフトにも1通残す
=控えの保存と売掛の見える化だけソフトに任せる
▼ はい(調書はなし)
請求書は元請けの様式で。ソフトは控えと入金チェック係に回す
▼ いいえ(様式の指定なし)
毎月ほぼ同じ内容 → ソフトで作って自動作成を予約
毎月バラバラ → ソフトで都度作る(品目を登録しておけば1分)
様式を指定してくる元請けが1社いても、残りの現場は0円のまま回せます

出来高請求の書き方そのもの、中間金や着手金の考え方は着手金・前受金の受け取り方の記事にまとめています。
この記事はあくまで「何で作るか」の話なので、書き方の中身はそちらへどうぞ。

人工代・材料・諸経費を「品目登録」で毎月使い回す

夜の作業が長くなる本当の原因は、実は毎月ゼロから打ち直していることです。
常用の人工代、手間請け、材料の立替、駐車場代や処分費。
中身はだいたい同じなのに、毎月同じ文字を打っている方が多いはずです。

最初に登録しておく4つの品目

ソフトには「品目」を登録しておく場所があります。
職人の場合、まずこの4つを入れておけば足ります。

  • 常用(人工)・・・日数×単価で出す分
  • 手間請け 一式・・・工事ごとにまとめて受ける分
  • 材料費・・・立て替えて買った分
  • 諸経費・・・駐車場代・処分費など

Misocaは取引先も品目も、無料プランのまま登録数の制限なしで使えます。
一度入れてしまえば、翌月からは呼び出して数量と金額を直すだけ。
ここが「夜9時が空く」の正体です。

登録番号(T+13桁)は、一度入れたら二度と打たない

この記事の最初に書いた「1桁違いで差し戻し」のリスク。
これは事業者情報に登録番号を1回入れておけば、それだけで消えます。
毎回手で打つから間違えるのであって、打つ回数を0にすれば間違えようがないという単純な話です。

税率ごとの消費税額と端数の処理も、ソフト側が決まった型で入れてくれます。
電卓で検算していた時間が、まるごと要らなくなります。

📄 品目を登録しておくと、毎月これが1分で出る
請求書請求日:2026年9月30日
〇〇建設 株式会社 御中
〇〇工務店 山田 太郎
登録番号 T1234567890123
品目数量単価金額
常用(人工)9月分1222,000264,000
手間請け 〇〇邸 内装工事 一式1180,000180,000
材料費(ボード・パテ)134,50034,500
諸経費(駐車場代・処分費)18,0008,000
小計 486,500 円
消費税10% 48,650 円
合計 535,150 円
備考:お振込手数料は貴社にてご負担をお願いいたします。
   お支払期限:2026年11月30日(末締め翌々月末)
🟡 登録番号は最初に1回だけ入れる/🟡 この4行は品目に登録して毎月呼び出す/🟡 備考の2行は毎回同じ文言
※金額はすべて架空の例です。数量と単価の入れ方は、ソフトによって呼び名が少し違います。

毎月ほぼ同じ請求書なら、自動作成を予約しておく手もあります。
Misocaは無料プランでも予約が使えます(その月に作れる通数を超えた分は作られません)。
freee請求書の無料は自動作成が1件までなので、元請け1社ぶんだけ自動にする形です。

人工代の単価の決め方や請求書での書き方そのものは請求書の書き方の記事、材料の値上がり分をどう乗せるかは材料費の転嫁の記事にまとめています。

「あれ、いつ入金だっけ?」をなくす|締め日から支払期限を決める

元請けごとに締め日が違う。
A社は末締めの翌月末、B社は20日締めの翌月15日、C社は末締めの翌々月末。
毎月カレンダーを見ながら「これはいつ入るんだっけ」と数えていませんか。

これは請求書の支払期限の欄に書いてしまうのが早いです。
書いておけば、自分も相手も同じ日を見ることになります。
入金が遅れたときに「いつまでの約束でしたよね」と言える根拠にもなります。

よくある取り決め9月末に出した請求書の支払期限入金まで
末締め・翌月末払い2026年10月31日約1か月
末締め・翌々月10日払い2026年11月10日約1か月半
20日締め・翌月15日払い(9月20日締め)2026年10月15日約25日

備考欄には、振込手数料の但し書きも入れておきます。
「お振込手数料は貴社にてご負担をお願いいたします」の1行です。
毎回同じ文言なので、一度書いたらコピーして使い回せば十分です。

それでも引かれてしまったときの止め方は振込手数料の負担は払う側が原則という記事に、法律の根拠と文例までまとめてあります。

なお、請求書に書く支払期日や振込条件は元請けの支払ルール次第ですが、その元請け側のルールが2026年に大きく動いています。
紙の約束手形は2026年度末(2027年3月末)で交換が終わる方向で、銀行ごとに振り出しの受付終了日が決まってきました。
「請求額から振込手数料を引いて入金する」昔ながらの慣習にも、2026年1月から待ったがかかっています。
手形払いや振込手数料の差し引きで損をしないための代金ルールは手形廃止後の工事代金の受け取り方で解説しています。

請求書は「出したあと」が面倒|未入金の見落としと、出し直しをラクにする

請求書は出して終わりではありません。
むしろ、出したあとに起きることのほうが厄介です。

起きたことやることソフトだとどう変わるか
金額や登録番号を間違えた出し直す。元請けが勝手に直すことはできない同じ画面から作り直して出し直せる
値引き・返品で金額が減ったマイナスの請求書(適格返還請求書)を出す書き方は返金・取り消しの記事へ
期日を過ぎても入金がない入金予定日の順に並べて確認して催促無料の2つは自動の消し込みなし。通帳と見比べる

未入金を見落とさない

Excelで管理していると、「あの現場、入ったっけ?」が起きます。
Misocaには請求書ごとに「未請求/請求済」「未入金/入金済」の状態を持たせる仕組みがあり、請求書の一覧に未入金の状況がグラフで出ます。
支払期限をどれだけ過ぎているかが色で分かるので、催促する順番がそのまま見えます。

※グラフに出るのは「請求済み」にした請求書だけです。請求日から365日を過ぎたものは集計から外れるので、1年以上の長期未回収は別で管理してください。

ただし正直に書いておきます。
入金の消し込みを自動にするのは、一人親方には現実的ではありません。
freee請求書で自動にするにはいちばん上のアドバンス(月10,000円+税)が必要で、無料でも中位のスタンダード(月1,980円+税)でも自動にはなりません。
月1万円を請求書のために払う場面は、そう多くないはずです。

だから通帳と見比べる前提でソフトを選ぶのが正解です。
並べて見えるだけで、見落としはかなり減ります。
それでも入らないときの回収手順は工事代金が回収できないときの記事にまとめました。

「出したかどうか」と「入ったかどうか」が1画面で並ぶだけで、月末の不安はかなり減ります。ここまでは0円の範囲です。

見積から請求への引き継ぎ

見積書を出して、そのまま同じ内容で請求書にできると、打ち直しが1回減ります。
Misocaは見積書の画面から「同じ内容で請求書をつくる」が選べます。
納品書からも請求書に変換でき、出来高で何枚も納品書を切った月はまとめて1枚の請求書にすることもできます。

ひとつ注意すると、変換して作った請求書も、その月の請求書の枚数に数えられます。
無料プランは月10通までなので、変換を多用する月は枚数を意識してください。
見積書そのものの書き方は見積書の書き方の記事にあります。

Excelから乗り換える5ステップ(今夜30分)

やることは決まっています。
順番どおりにやれば、来月の請求日から作業が変わります。
読みながら手を動かせるように、先に無料で登録して画面を開いておくと、そのまま進められます。

🛠 今夜30分でできる乗り換え5ステップ
1
取引先を登録する
元請け2〜3社と、よく行く個人宅だけで十分。Misocaは無料でも登録数に制限なし
2
品目を登録する
「常用(人工)」「手間請け 一式」「材料費」「諸経費」の4つから
3
事業者情報を入れる
登録番号(T+13桁)・振込先・備考の定型文をここで固定してしまう
4
先月の請求書を1通だけ作ってみる
宛先を自分にして送信テスト。登録して終わりにしないのが大事
5
控えの保存先を決める
ソフトに残る分に加えて、PDFは「日付_取引先_金額」でフォルダに
⏱ あなたの現場、無料のままいける? 30秒判定
Q1 月に出す請求書は何通ですか
Q2 「この様式で出して」と言ってくる元請けは
Q3 出来高請求(前回まで・今回・差引残高を書く形)は
Q4 入金の確認は

無料枠10通を温存するコツ|小口の代金はPayPay受け取りで請求書レスに

ここからは、このブログらしい合わせ技の話。
請求書の通数を減らせば、無料枠はもっと余裕になります。

個人宅の小さな修理や急な追加工事。
数千円〜数万円の代金のために請求書を切って、振込を待って、入金を確認して…は、正直手間に合いません。
こういう小口の代金はその場でPayPay受け取り+必要なら領収書を渡す方式にすると、請求書そのものが不要になります。

つまり、月10通の無料枠は元請け向けの「ちゃんとした請求書」に温存し、小口は現場で回収を終わらせる。
発行はツールで自動化、回収はキャッシュレスで前倒し。この2つを揃えると、お金まわりの事務が一気に軽くなります。

📄 請求書を切る仕事
元請けへの工事代金
法人相手の仕事
金額が大きく振込で受ける分
→ 無料枠10通はここに使う
📱 その場で終わる仕事
個人宅の小修理
急な追加工事
数千円〜数万円の代金
→ その場でPayPay受け取り

数えてみると効きます。
元請け3社なら月3通。個人宅の小口が月5件あるうち3件をその場の受け取りに寄せれば、請求書は月5通。
無料枠10通の半分で収まります。

請求書を1通減らすいちばん確実な方法は、その場で受け取ってしまうことです。

💡 PayPay受け取りまわりの実務はこちら

PayPayで受け取ったときの領収書の出し方はPayPay払いの領収書の記事、まだPayPayを導入していない方は月0円でできるQR決済の導入手順からどうぞ。

なお、それでも代金が振り込まれない…という未払いトラブルの対処は工事代金の回収方法の記事にまとめています。請求書を正しく出すことは、未払い対策の第一歩でもあります。

正直FAQ|「評判は?」「無料のまま放置したら?」「やめ方は?」

口コミではなく、料金表と利用規約に書いてあることで答えます。

Q. 無料プランって、あとから勝手に課金されない?

されません。ただし入り方に順番があります。
Misocaの「無料プラン」は、申し込み画面で最初から選べるプランではありません。
まず無料体験プラン(申込日から申込月の翌月末日まで=最大2か月)で登録して、その間に有料へ移らなければ、自動で無料プランに切り替わります。

Q. 無料のまま放置したらどうなる?

無料プランはデータの保存期間が「最後にログインした日から3年」です(有料プランは保存期間の制限なし)。
ログインしている限り、3年の期限は先送りされます。
年に一度でも開いていれば、データが消える心配はありません。

Q. 「1年間無料」のキャンペーンって、うちも使える?

年契約のプラン15・100・1000が対象で、2027年3月31日(水)までの申し込み分です。
条件は2つ。①対象の年契約を申し込むこと ②自動更新の支払い方法として口座振替かクレジットカードを登録すること。

注意点も正直に書きます。
1事業者につき1回だけで、一度解約したあとに申し込んだ場合は使えません。
月契約(プラン15(ライト)を含む)は対象外です。
そして無料プランに移ったあとでは、もう使えません。

つまり「タダで様子を見てから有料に上げよう」という順番が、いちばん高くつきます。
有料にする気があるなら、無料体験の2か月のうちに決めるのが得です。

Q. やめたいときは?

年契約は自動で更新されます。
更新を止めるなら契約が終わる月の「前の月の末日」までに、マイポータルから更新停止を申し入れてください。

ここが大事なところで、「更新停止」と「解約」は別物です。
更新停止は、契約が終わったあと無料プランに移るだけなのでデータは残ります。
解約はその日で終わりになり、解約前のデータは再利用できません。
迷ったら更新停止のほうを選んでください。

なお、次の年の利用料の引き落としは契約が終わる月の20日(クレジットカード)または23日(口座振替)に来ます。
月末まで待っていると、止める前に引き落とされます。

Q. 無料の10通を使い切ったら、買い足せる?

無料プランの10通は買い足せません。11通目を出したいなら有料プランへの変更が必要です。
1通70円+税で足せるのは、プラン15以上の16通目からです。

Q. インボイスの2割特例は、まだ使える?

個人事業者の場合、2割特例が使えるのは令和5年分から令和8年分(2026年分)までの最大4回です。
そのあとの令和9年分・令和10年分は「3割特例」になりました(納める消費税を売上にかかる消費税の3割にできる制度)。
事前の届出は要らず、申告書の欄に書くだけで使えます。
くわしくは2割特例の終了と次の特例の記事にまとめています。

まとめ|「月10通以内ならMisoca、読めないならfreee請求書」

最後に要点を整理します。

  • 手書き・Excelは有効だが、転記ミス差し戻し・控えの電子保存・7年保存の3リスクが残る
  • ずっと無料で本格的に使えるのはMisocaとfreee請求書の実質2つ
  • 分かれ目は月の請求書の通数。10通以内ならMisoca無料プランで完結
  • 元請けの指定様式と出来高調書は、無料の2つでは作れない。その現場だけ従来通りでいい
  • 人工代・材料・諸経費は品目に登録しておけば、毎月呼び出すだけ
  • 小口の代金はPayPay受け取りにすれば、無料枠はさらに余裕に

元請けの指定様式が1社あっても、残りの現場は0円のまま回せます。全部か0かで考えなくて大丈夫です。

このままExcelで続ければ、来月も夜9時から電卓と封筒の作業が待っています。
逆にいま無料プランで1通作ってみれば、来月の請求日は「フォームに入力して送信ボタン」で終わっている。
その差を作るのは、今夜の10分だけです。

請求書の前で30分悩む夜が消える。月10通までは無料プランのまま使い続けられるので、合わなければそこでやめればOKです。

ここまで読んでくださった方は、「出す書類」と「受け取るお金」の流れをまとめて整えたいタイミングだと思います。
下の3記事を順に読めば、見積→請求→回収という現場のお金の流れが一本につながります。

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