工具の経費は10万・20万・40万の壁|一括償却と少額減価償却の特例

こんにちは、ゆうペイです!

現場で使う道具は、年々高くなっていきます。
インパクトや丸ノコならまだしも、発電機やレーザー墨出し器、現場用のノートパソコンともなれば、一つで十数万円〜数十万円。「思い切って良いやつを買ったぞ」という年もありますよね。

そんなとき気になるのが、「この道具、買った年に全部経費にできるの?」という話です。年末に高い工具をまとめ買いして「今年は経費が増えたから税金が安くなるはず」と思っていたら、実はそう単純ではなかった――というのは、職人さんがいちばんつまずきやすいポイントです。

ゆうペイ

現場で使う工具や機械、いくらまでならその年に全部経費にできるんだろう?
高いやつを買った年は、その分まるごと税金が安くなるのかな?

☝️結論から言うと、工具や備品は「買った値段(取得価額)」で経費の落とし方が変わります
・10万円未満 … 買った年に全額
・10万円以上 … 原則は数年に分けて経費にする(減価償却)
ただし青色申告なら、特例で買った年に一気に経費にできます。2026年4月からはその枠が「30万円未満→40万円未満」に広がりました。

この記事では、工具や機械・備品を買う一人親方・個人事業主の方向けに、

  • 10万・20万・30万(40万)円の「壁」で変わる経費の落とし方
  • 2026年4月からの「30万→40万円」改正(買った”日”で変わる)
  • 一括償却と特例、どちらが得かの選び分け

☝️この3つを現場目線でお伝えします。高い道具を「迷わず・損なく」経費にするための地図にしてください。

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目次

工具・備品は「いくらで買ったか」で経費の落とし方が変わる

まず全体像から。仕事で使う工具や機械・備品は、もちろん経費です。問題は「買った年に全額落とせるか」「数年に分けるか」で、これは買った値段(取得価額)で決まります。最初の分かれ目が「10万円」です。

10万円未満なら、買った年にまるごと経費。10万円以上になると、原則は「決められた年数に分けて少しずつ経費にする(減価償却)」になります。ただ、そこに「一括償却」「少額減価償却の特例」という”近道”が用意されていて、条件に合えば早く・大きく経費にできます。まとめると、こうなります。

🔧 買った値段でわかる「経費の落とし方」早見
10万円未満 … 買った年に全額経費(消耗品費)。手工具・電動工具の多くはここ
10万円以上 20万円未満一括償却(3年均等)か、少額特例(青色)を選べる
20万円以上 30万円未満 ※2026年4月以降の取得は40万円未満青色申告なら買った年に全額(少額減価償却の特例)
特例を使わない場合法定耐用年数で数年に分けて経費(通常の減価償却)
※金額はすべて「税抜・税込どちらで帳簿をつけているか」で判定します。1セットで使うもの(送料・付属品込み)はまとめて1つの値段で見ます。

ポイントは、金額が上がるほど、選べる方法が変わることです。10万〜20万円未満なら「一括償却」と「少額特例(青色)」のどちらも選べます。
20万円以上になると一括償却は使えなくなり、青色申告なら「特例」、そうでなければ「通常の減価償却」になります(特例で一発で経費にできる枠は、2026年4月から40万円未満に広がりました)。

次の章から、一つずつ見ていきます。

10万円未満は、買った年に全額経費(消耗品費)

いちばん多いパターンがこれです。
1つあたり10万円未満の工具・備品は、買った年に全額をその年の経費にできます。
勘定科目は「消耗品費」で処理するのが一般的です。

インパクトドライバー、丸ノコ、レーザー距離計、電動工具のバッテリー、手工具一式。
現場で使う道具のほとんどは、1つ10万円未満に収まります。これらは難しく考えず、買ったレシートを残して「消耗品費」で落とせばOKです。
1年以内に使い切るもの(消耗品・刃物の替刃など)も同じ扱いです。

なるほど、普段買う道具のほとんどは、その年に全部経費にできるのか。これは気がラクだな。

⚠️ いちばんの落とし穴が「1セットで使うものは、まとめて値段を見る」という点です。
たとえば本体8万円のレーザー墨出し器に、専用三脚と受光器を合わせて買って合計12万円・・・という場合、セットで1つと見て「10万円以上」と判定されることがあります。

バラバラに見れば10万円未満でも、セットなら超える、というケースは覚えておきましょう。

10万〜20万円は「一括償却」で3年に分けられる

1つ10万円以上20万円未満の工具・機械には、「一括償却資産」という選択肢があります。
これは取得価額を3年で均等に(毎年3分の1ずつ)経費にする方法で、耐用年数が何年かを調べる必要がありません。
たとえば18万円の高圧洗浄機なら、6万円ずつ3年で経費にしていきます。

🛠 18万円の機械を「一括償却」した場合
1年目
6万円
2年目
6万円
3年目
6万円
年末(12月)に買っても、初年度から満額の6万円を計上できます(通常の減価償却のような月割りが不要)。

一括償却には、地味だけれど効く2つのメリットがあります。

  • 償却資産税(固定資産税の一種)がかからない……一括償却を選んだものは、市区町村に申告する償却資産の対象から外れます
  • 年末に買っても満額計上できる……月割りが不要なので、駆け込みで買った年も3分の1をまるごと経費にできます

じゃあ何でも一括償却が得じゃないの? デメリットってあるの?

1つだけ気をつけたい点があります。一括償却を選ぶと、途中でその機械を壊して捨てたり、売ったりしても、残りを一度にまとめて経費にすることはできず、そのまま3年間かけて少しずつ経費にしていくルールになります。「2年目で壊れたから残り12万円を全部今年の経費に」とはできない、ということです。とはいえ3年で必ず経費にはなるので、大きな不利ではありません。

【2026年改正】青色申告なら40万円未満まで「買った年に全額」

ここが今いちばん大事で、いちばん間違えやすいところです。
青色申告をしている人には、「少額減価償却資産の特例」という強い味方があります。

これは1つあたり一定額未満のものを、買った年にまるごと経費にできる制度です。そして2026年(令和8年)に、この”一定額”が引き上げられました。

2026年4月1日以降に買ったものから、「30万円未満」→「40万円未満」に拡大されています。しかもこれは”買った日”で切り替わるのがポイント。
同じ年でも、3月までに買ったものは30万円未満まで、4月以降に買ったものは40万円未満まで、と分かれます。

📅 「買った日」で変わる、特例の上限
〜2026年3月31日に取得
30万円未満
まで一発で経費
2026年4月1日以降に取得
40万円未満
まで一発で経費
年間で合計300万円までという上限は、改正後も変わりません。

たとえば38万円の溶接機を2026年5月に買ったなら、改正後の40万円枠に収まるので、青色申告ならその年に全額経費にできます。高精度の測定器や現場用パソコン、機材一式など、これまで「30万円を超えるから数年に分けるしかなかった」ものが、一発で落とせるようになったわけです。

📋 少額減価償却の特例・おさえる条件

青色申告をしている人だけが使える(白色申告は対象外)
・1つあたり30万円未満(2026年4月以降の取得は40万円未満)
・年間で合計300万円まで
・確定申告書に明細をつけ、摘要に「措法28の2」と記載する
・適用できる期間は令和11年(2029年)3月31日までに延長されています

※従業員数の上限などの細かい要件もありますが、一人親方や少人数の事業者なら、まず問題になりません。
※国税庁のページは改正前の「30万円・令和8年3月まで」の表記が残っていることがあります。判断は「いつ買ったか」を基準にしてください。
👉 根拠:国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」/租税特別措置法28条の2

逆に言うと、この特例は白色申告だと使えません
「高い工具をその年に一気に経費にしたい」なら、青色申告にしておくだけで選択肢がぐっと広がります。
青色申告なら最大65万円(要件を満たせば)の控除も受けられるので、道具にお金がかかる職人ほど、切り替えるメリットは大きいです。
クラウドの申告ソフトを使えば、簿記の知識がなくても、スマホからでも青色申告の書類がそろいます。初年度0円で使えるので、まずは無料で使い勝手を試しておくのがおすすめです。

👉 やよいの青色申告オンライン(初年度0円・シェアNo.1)

結局どれを選ぶ?特例・一括償却・通常償却の選び分け

10万円以上の道具は、「一括償却」「特例(青色)」「通常の減価償却」のどれかを選ぶことになります。それぞれの向き不向きを並べると、こうなります。

方法経費にするスピード償却資産税こんな人に向く
少額減価償却の特例
(青色のみ)
買った年に全額かかる今年の利益が大きい・早く経費にしたい
一括償却
(20万円未満)
3年で均等かからない償却資産税を避けたい・利益を分散したい
通常の減価償却耐用年数で分けるかかる高額で長く使う・特例の枠を他に使いたい

ざっくりの考え方はこうです。
黒字が大きい年に、利益を一気に圧縮したいなら「特例」。
償却資産税を避けたい・利益を数年に分けたいなら「一括償却」。
高額で長く使う機械なら「通常の減価償却」・・・という具合に、その年の利益の出方と道具の値段で選び分けます。

ひとつ気をつけたいのは、「特例=いつでも一番得」ではないこと。
利益がほとんど出ていない年に特例で全額落としても、節税の効果は薄くなります。
むしろ通常の減価償却で経費を将来の黒字年に残したほうが、トータルで有利な場合もあります。
迷ったら、その年の所得の見込みと合わせて考えるのがおすすめです。

🚙 車・軽トラを買ったときは別ルール

軽トラやハイエースなど「車両」は、ここで説明した工具・備品とは分けて、車専用の年数(普通車6年・軽4年など)で考えます。中古車の計算や按分のしかたは、こちらの記事で解説しています。

👉 車・ガソリン代はどこまで経費?一人親方の按分と「10万円超の車」の落とし方

買った記録と固定資産の登録を、ラクにする

どの方法を選ぶにしても、土台になるのは「いつ・何を・いくらで買ったかの記録」です。高い道具ほど、レシートや納品書をなくすと後で困ります。

支払いの履歴が、そのまま証拠になる

工具をPayPayやカードで買うと、いつ・どこで・いくら払ったかが取引履歴に自動で残るので、紙のレシートを失くしても支払いの証拠になります。工具の支払いも現場の集金も同じ履歴にまとまるので、お金の出入りの記録が勝手に整っていくのは、確定申告のときに効いてきます。

一括償却・特例は、会計ソフトなら「選ぶだけ」

「3年で割る」「特例で全額」といった処理は、手計算でやると面倒ですが、freeeなどの会計ソフトなら、固定資産を登録する画面で償却方法の区分を選べるようになっていて、あとの仕訳や金額の計算は自動で進めてくれます(細かい呼び名はソフトによって異なります)。
どのソフトが自分に合うかは、こちらで比較しています。

👉 個人事業主の会計ソフトは実質3択|弥生・freee・マネーフォワード比較

確定申告前の深夜に、領収書の山と電卓を前にする休日を、そろそろ卒業しませんか。30日間の無料体験から始められるので、道具の経費処理がどれだけラクになるか、肌で確かめてみてください。

まとめ|工具の経費は「値段の壁」と「青色かどうか」で決まる

高い道具を買ったときの経費は、複雑に見えて、「いくらで買ったか」と「青色申告かどうか」の2つでほぼ決まります。
10万円未満なら全額その年に。10万円を超えたら、一括償却・特例・通常償却から、その年の利益に合わせて選ぶ。これだけ押さえれば迷いません。

💭 この記事の要点

・10万円未満は買った年に全額経費(消耗品費)。1セットで使うものはまとめて値段を見る
・10万〜20万円未満は「一括償却」で3年均等。償却資産税がかからず、年末買いでも満額
・青色申告なら「特例」で買った年に全額。2026年4月以降の取得分から30万→40万円未満に拡大(買った日で線引き・年300万円まで)
・特例は白色だと使えない/利益が小さい年は特例が得とは限らない
・車両は別ルール。記録はPayPay・カード履歴、計算は会計ソフトに任せるとラク

ここまで読んでくださった方は、「経費まわりを一度きちんと整えたい」タイミングだと思います。下の3記事を順に読めば、経費の全体像→割合の決め方→会計ソフトで効率化、という現場目線の経理の土台がひと通り整います。

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